「リマインズ」最初のインタビューは、管理栄養士の資格を持ち、自身の目標をに向かって精力的に活動されている圓尾和紀さん(27才)にインタビューしました。
 圓尾和紀さんのblog : カラダヨロコブログ

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「病気になる前に知ってほしいことがたくさんある」

しのぶん:
 この前の「ほめかい」はありがとうございました(笑)

IMG_1863_s圓尾和紀
 ほめかい、褒め合う会(笑)
 いやぁ、楽しかったですねー(笑)
 あんなにも褒められるのが嬉しいなんて。

しのぶん:
 カズキの褒められて嬉しいポイントはどこだった?

圓尾和紀
 「あなたが居てくれたから今の私がある」ですね。
 実際、栄養指導した患者さんに言ってもらえたことがあって、その時のことを散々褒められて嬉しかったです(笑)
 褒めること、褒められることの大切さを感じました。

しのぶん:
 よかった(笑)
 ではさっそく、竜馬を目指す男のプロフィールをインタビューしましょうか。

圓尾和紀
 竜馬・・(苦笑)
 大丈夫ですかね?これを読んだ方が竜馬をイメージしていただいたとして、実際に自分と会った時にギャップを感じるんじゃないかと・・。

しのぶん:
 んー。現状が竜馬です!って言ったら違うのだろうけど、「大きく社会貢献したい」という意志は間違いないんだよね?

圓尾和紀
 そうですね。

しのぶん:
 ならそれでいこう(笑)
 早速、カズキのプロフィールを・・という前に「管理栄養士」について少し聞きたいと思うんです。
 一般的にはまだまだ認知度が低いと思うんですよね。「栄養士」と「管理栄養士」の違いもわかっていない方が多いと思うんです。

圓尾和紀
 そうですね。
 生きて行く中で、誰にでも健康の維持は不可欠だと思いますし、だから栄養の知識は大切なのに、専門家である栄養士・管理栄養士の認知度が低いというのは、栄養士さんの誰もが嘆いていることだと思います。
 栄養士と管理栄養士の違いは大きく分けて二つです。
 管理栄養士は国家資格であること、そのための試験があって、学ぶ知識も深くなります。
 また、管理栄養士は患者さんの栄養指導をする際に、保険の加算が認められています。
 つまり、診療報酬が付けられるということですね。

しのぶん:
 なるほど、管理栄養士さんは病院で働くっていうことでいいんですかね?

IMG_1761_s圓尾和紀
 必ずしもそうではないですね。
 管理栄養士は職業ではなくあくまで資格なんです。
 最近だと、スポーツジムで働かれてる方もいます。また、資格を取っても全く関係の無い職業についている方も居ます。
 実際、僕が卒業した大学でも、卒業生のみんながみんな、病院で働いている訳ではないんです。
 病院勤務の栄養管理士の給与水準が他の職業と比較して特に良いわけでもなく、就職先もたくさんあるというわけではないです。

しのぶん:
 病院で働いてみてどうでした?

圓尾和紀
 そうですね。確信が深まったというのはありますね。

しのぶん:
 確信?

圓尾和紀
 はい。病院での勤務は正直2年ぐらいの経験でしかないので、一人の患者さんを何年も診ていたわけではないですが、先輩から引き継いだ記録などを見ても、既に病気になってしまった方への栄養指導にはやはり限界があるという確信です。

 たとえば、糖尿病の患者さんだったりすると、病状が進行している場合には身体の一部を切除といったことになり、ご本人もまさかそんなことになるとは思っていなかったというケースがあります。
 やはり著しく進行した場合では、栄養指導が果たせる役割に限界があります。
 大きな病院での勤務では、患者さんが既にクリニックなどで通院されたりした後に、更に症状を悪化させて来院されるケースも多いので、栄養指導よりも治療が重視されることになります。

しのぶん:
 なるほど。
 自分自身でも変化はありました?

IMG_1794_s圓尾和紀
 そうですね。食生活は学生の頃とはガラっと変わりました。
 思い返すと、学生当時の食事はひどかったですね。

しのぶん:
 あらら。学生の時も栄養学の勉強はしていたんだよね?
 それでも食事はひどかったんだ。

圓尾和紀
 そうですね。
 実際に病院に勤めて多くの患者さんと出会うようになって、みなさんの病状を見る事で意識が変わったんだと思います。
 ご病気で苦労されている方と毎日のようにお会いしますので、自分もきちんと栄養を意識した食生活をしないと危険だという意識ですね。
 それと、大学時代の栄養学はある意味、基本だったと考えています。
 世の中の栄養学の知識はどんどん新しい情報が出てくるので、ただ学校を出ました、教育を受けました、資格を取りましたというだけでなく、常に新しい情報を書籍やセミナーなどで吸収していく必用が有ります。

しのぶん:
 一口に栄養士・管理栄養士といっても、人それぞれに知識量が違うってことなんですね。

圓尾和紀
 はい。
 ダイエットサポーターなどの方がより実践的な、結果につながる知識を持たれているという場合も有ります。

しのぶん:
 なるほど。聞いてみないとわからないもんですね。
 こんな人が危ない、病気になりやすいといった方は居ます?

kanri._sjpg圓尾和紀
 食事の時間が不規則だったり、早食いだったり、あとはコンビニで済ませる方とかですかね。添加物の問題もありますし。
 特に働き盛りの男性ですかね。
 特にお腹が出ていたり、疲れがとれない方などは危険信号ですね。将来糖尿病などの生活習慣病に発展するリスクがあります。

しのぶん:
 システムエンジニアとか?(笑)
※しのぶんはシステムエンジニア歴10年

圓尾和紀
 あー。夜が遅くて、運動が少ない方だとかは気をつけていただきたいですね。
夕飯が菓子パンと焼き鳥、なんていう方がいらっしゃったら・・・。

しのぶん:
 確かに。コンビニにある食物は炭水化物と脂質が中心のものが多いからね。
 野菜といっても、カット野菜だと、ビタミンが壊れているって聞くし。

圓尾和紀
 そうですね。量の不足、素材の栄養素自体の不足なども気になります。
 栄養はバランスが重要なのできちんと知識を持って、主菜副菜も一緒に摂取いただきたいです。
 なんだか体調が思わしくないなとか、まずいかなという気持ちがあっても、病院に行くのが億劫だといって、放置して病状を進行させてしまう方がたくさんいらっしゃいます。

「自分が力を尽くしたい場所を求めて」

しのぶん:
 病院での栄養指導は「もどかしい」立ち位置の仕事なのかな?
 もちろん病気になった方にも栄養指導は必要だけど、その方たちはもう予防ではなく、治療が必用な段階な訳で、栄養指導はもちろん重要でも、ある意味二の次というか、まずは治療ありきですものね。

IMG_1766_s
圓尾和紀
 そうですね。
 誰にでも大切な問題なのに、栄養についての知識はもちろん、意識が十分に高まって居ない方がたくさんいらっしゃる事は社会として問題ではないかと考えています。

しのぶん:
 病院の仕事では満たされなかった?

圓尾和紀
 うーん・・・。
 満たされないというか、病院での栄養指導はもちろん意義のある仕事なんですが、社会全体を考えると、やはりそこに注力するというのは力点として違うのかなとは思うんですね。
 病気になる前に予防できた方が、個人の生活の質を維持できます。実際に、病気となれば本人が苦しんだり、お仕事に影響が出たりというだけでなく、ご家族の方の負担ということもあります。健康維持は本人の問題だけではないとおもうんですね。病状の進行がひどくなれば、経済的な負担も増える可能性があります。
 極端な言い方をしてよいのであれば、手遅れとなる前に、常に意識を持っていただきたいのです。だから予防なんです。
 それでも、病院での栄養指導はやりがいがある仕事ではありました。

しのぶん:
 やりがいというと、たとえば?

圓尾和紀
 自分が身につけた栄養の知識を通して、体調が回復された方などに、「先生と出逢えて良かった」といって頂いたりした時は本当に嬉しかったです。
 ある方ですが、本当に栄養についてご存知なくて、甘いものは控えてくださいねとか、野菜をもっと多めにといった内容を素直に聞いて頂いて。
 こちらで指導したことを全て受け入れて頂いて、おかげで血糖値も下がって、自分が居たからこそ、この方は良くなったという充実感がありました。

しのぶん:
 そういうところはカズキらしいよね。
 逆に大変な事とかは?

圓尾和紀
 そうですね。
 何十回と指導していても、まったく体重が減らない方などの場合はどうしたら良いものかとだいぶ悩みましたね。
 対人の仕事で、それぞれにご事情があって、指導を行っても実践できないということもあります。
 特に生活習慣病の方は、やはり習慣そのものが変わらないと効果は期待できません。

しのぶん:
 そうか、生活習慣病なんて、生活そのものの改善が必用だったりするものね。
 つまり、意識を持たせるとか、モチベーションを維持させるとか、そうして相手の習慣が変わってくれないと、栄養指導もままならないというか。

IMG_1795_s圓尾和紀
 メンタルケアまでできる栄養士は強いと思います。
 単に栄養の専門家という立場でアドバイスするだけでなく、その方の心を動かさないといけない仕事なのかもしれません。
 それだけに難しいですし、そのぶんやりがいがあります。
 ただそれでも、自分として力を尽くしたい場所はここではなく、予防の世界だとは思いました。

しのぶん:
 その人の生活をまるごと改善する気持ちがないと、栄養指導はできない。
なるほどねぇ。
 よし、そんなカズキがどうした経緯で今に至ったのか、そろそろ掘り下げてみましょうか?

圓尾和紀
 んー、なんだか怖いですねぇ(笑)

「人体解剖図鑑を読む子供でしたね(笑)」

しのぶん:
 神戸出身なんだよね。
 神戸というと100万ドルの夜景というイメージが強いけど。

IMG_1821_s圓尾和紀
 あぁ、100万ドル(笑)
 僕が住んでいたのは郊外で、坂の多い伊川谷というところです。
 昔は田んぼだらけのところで。
 だから都会っ子という感じではないですね。
 坂が多くて、自転車だとちょっときついようなところで。

しのぶん:
 この前会った時に「人体解剖図鑑を読んでいた」っていうのが気になったんだけど、昔から、栄養とかには興味が有ったの?

圓尾和紀
 全然ですね(笑)
 全く興味が無いというよりも、栄養学ということも知らなかったです。
 人体解剖図鑑は確かに読んでいたんですが、理科系の本が好きだったんです(笑)
 理科全般、宇宙とか、化石とかも好きでしたし・・

しのぶん:
 あぁ、地殻が・・、とかマントルがどうとか?

圓尾和紀
 そうですそうです。

しのぶん:
 僕も理科系の子供だったからよくわかる(笑)
 地球のしくみとか、そういうの。
 どんな子供だったのかな?
 例えばクラスでは?

圓尾和紀
 おとなしい男の子でしたね。

しのぶん:
 んー。それも、わかる(笑)
 自己主張が強い感じのタイプには見えないものね。
 ソフトな感じ。
 それでも竜馬を目指すというから、意外性があるよね(笑)

圓尾和紀
 そ、そうですね(笑)
 それでも竜馬を目指します!!

しのぶん:
 いいね。その気概がかっこいい。
 まぁま、何故竜馬なのかは、後回しにして・・・。
 部活とか、何か今につながることはあったりする?

IMG_1811_s圓尾和紀
 いきものがかりはしていましたね。
 飼育小屋を掃除したり、にわとり、うさぎ、いんこの世話とか。

しのぶん:
 生き物が好きだった?

圓尾和紀
 そうですね。
 ハムスター、インコ、ザリガニ、バッタ、トンボ、カブトムシ・・いろいろと飼っていました。

しのぶん:
 虫好き?

圓尾和紀
 あぁ、結構そうですね。
 そこら中に居ましたから(笑)
 カブトムシとかは、毎年お墓をつくっていました。
 雨ですぐわからなくなっちゃうんですけど、毎年毎年(笑)
 幼虫の頃から飼うんですけど、成虫してすぐに死んじゃうので。
 あぁ、あとカマキリが好きでした。

しのぶん:
 カマキリ?
 ど、どこが?(笑)

圓尾和紀
 バッタを食べるんですよ。
 補食する様を見るのが好きというか・・。
 ライオンだとか、チーターの狩りとか、そういう野生動物のテレビ番組を観るのも好きでした。

しのぶん:
 あぁ、狩りが好きなんだ。
 そこはやっぱり、優しい顔していても男性なんだねぇ。

IMG_1804_s圓尾和紀
 あはは、どうなんでしょう(笑)

しのぶん:
 まぁ、普通の男の子だった?

圓尾和紀
 普通だったと思います。
 プラモデル、ミニ四駆、ゲーム、一般的な男の子ですね。

海外留学が気づきの始まり

しのぶん:
 当初は工学部を目指していたんだよね?

圓尾和紀
 そうです。
 理系が得意だったんで、その道の先に何かあるかなと、その時はぼんやり思っていたんですね。
 ゲームが好きでしたし、パソコンも好きでしたから、ゲームを作る仕事とか、ただなんとなく描いていて。

 ただ、ある大学のオープンキャンパスに行った時に、ひたすら数式を展開する授業風景を見て、ちょっと違うなと。
 それで、いろいろと探している時に、栄養学部というものを知って、あぁこういう学問もあるんだなと。

しのぶん:
 自分の中で何かが繋がった?

圓尾和紀
 んー。「なんとなく」でしたね
 管理栄養士というものをその時に初めて知って、自分の得意分野を持っているってかっこいいなという感じです。
 トランジスタがどうこうというよりは、なんとなくイメージが付いたというか。

しのぶん:
 学生生活はどうでした?

IMG_1829_s圓尾和紀
 学ぶのは楽しかったんですが、最初の一年が終わった時、このままでいいのかなという思いはありました。
 広がりがないというか・・・。
 栄養学部は他の学部よりも独特だったんです。
 例えば、文系なら哲学や経済や一般教養的なカリキュラムといろいろな学びが有りますけど、栄養学部はもうひたすら栄養、栄養だけでした。
 一限目から五限目までびっしりと授業で埋まっていて、一日中栄養学を学びました。

しのぶん:
 ガチだ。ガチ過ぎるね。

圓尾和紀
 そうですね、とにかく忙しかったです。
 他の学部だとサークルだとか、合コンとか、楽しそうだなぁって思っていました。

しのぶん:
 イギリスに留学したんだよね?

圓尾和紀
 そうですね。
 このままだとなんか違うって思っていて、それで留学のことを知って、1年間英語の勉強をして留学しました。
 学校生活に違和感、もしくは不安感を感じたんだと思います。

しのぶん:
 留学して記憶に残っていることはある?

圓尾和紀
 台湾から来ていた年上の学生との会話を今でも覚えています。
 いきなり、
 「カズキ、夢はあるか?」
 って聞かれて、なんとなく、結婚して子供を授かってみたいな話をしたら、
 「そんなのは違う!この世で何をしたいのかだよ!!」
 って言われて(笑)

しのぶん:
 熱いね(笑)

IMG_1847_s圓尾和紀
 「そんなの夢じゃない。いつまでに何をして、その先に何をしてって目標をもたなきゃ」
 って言われて衝撃でした。
 その人は、しっかり目標があったんですよね。
 あとは中国からの留学生とか。

しのぶん:
 中国からの?

圓尾和紀
 中国からの留学生ってすごくて、いろんなことを知っていました。自分の国の事はもちろん、日本のこともよく知っていて、トヨタのここが凄いとか、政治に付いても、小泉首相ががどうとかこうとかと、意見を持っていました。

 イタリアからの留学生で、ものすごく軟派な人がいたんです。
 いつも女の子を追っかけてばっかり居るような(笑)
 でも、ある日に、バーで戦争の話になった時に、急に真面目な顔をして話始めたんす。
 日本の昭和天皇はここが凄いとか、あれこれ話しだして。
 それも衝撃でしたね。

しのぶん:
 軟派に見えるけど、自分の意見を持っているし、知識も深かった?

圓尾和紀
 はい。
 みんな自分の国だけでなく、他の国の事にも詳しかったです。
 それから、誰もが自分の国を愛していました。

しのぶん:
 なんだろう、日本とは学生の質が違うとか、教育のベースが違うってことかな。

圓尾和紀
 んー。
 みんな、何かを目指して学びに来ている姿勢がありましたね。
 もちろん留学生だからかもしれません。
 ちゃんと勉強するし、予習もしてくるし、授業にも積極的に参加して、日本の学生とは全然違いました。
 やばいぞ日本って思いましたね。

しのぶん:
 なるほど、そこで意識が少し変わって来たんだね。
 海外留学はやっぱり大きいんだなぁ。

圓尾和紀
 留学から帰って来て、もっと日本を知ろうと思いました。
 活字が苦手だったんで、それまでは書籍とかも毛嫌いしていましたが、歴史を学んだり、小説を読んだり。

しのぶん:
 それで「竜馬がゆく」に出会ったわけだ。
 竜馬のどこに惹かれたんだろう?

IMG_1814_s圓尾和紀
 「大志」ですね。
 言っていることが大きいし、それを実現させた。
 自分も大きく社会貢献できる人間になりたいという気持ちは、そこから芽生えたんだと思います。

しのぶん:
 自分のヒーローに出会ったわけだ。
 大学院にも行ったんだよね?

圓尾和紀
 専門性を高めたくて行きました。
 ただ、実験や基礎研究に達成感が得られないもどかしさがありました。
 すぐに目に見える研究とかではないので、誰かが具体的に喜んいる姿がみえない物足りなさを感じていました。

内定辞退とジェイミー・オリヴァー

しのぶん:
 大学院を卒業して、IT系の企業に就職するはずだったんだよね?
 この近くの?(東京の某区)

圓尾和紀
 インターンのプログラマーとして学生時代にずっとお世話になっていたIT企業が有って、内定もしていましたが、入社直前に辞退することになって・・。

しのぶん:
 うん、いろいろそこは複雑なことは聞いてるから、この場ではやめておいて。

 不思議なんだけど、元から管理栄養士志望ではなかったわけなの?

IMG_1779_c圓尾和紀
 そのIT系企業がとても自分に合っていて、この会社なら自分が社会貢献に関われるという明確なビジョンが描けました。
 社会貢献ということが僕に取っては重要なことだったので、働き方、働き場所は気にしていなかったんです。
 ですから、その時は管理栄養士の資格で何かをするということは全く考えていませんでした。
 働いている方々が本当に良い方ばかりででしたし、たくさん意識を変えて頂きました。

しのぶん:
 この前もいろいろと聞いたけど、よっぽど良い環境だったんだろうね。
 内定辞退は大きなショックだった?

圓尾和紀
 んー・・・。

 当時の感情を言葉では言い表せないですねー。
 天と地がひっくり返ったという表現がふさわしいのかもしれません。
こう、目の前にあった巨大な橋が、突然目の前で無くなったというか。
 信じて歩いていた道が一瞬で消失したというか。
 「え、なんだろうこれは、何が起きた?」という。

しのぶん:
 入社日直前なんだものね。
 入社しないことなんて、ありえないことだったろうし。
 社会へ出る最初の一歩がいきなり、内定辞退というのは確かに辛いよね。

IMG_1832_c圓尾和紀
 その時は何を食べても味を感じませんでした。
 家にずっと居ることができなくて、とにかく外に出て、ただひたすら知らない街に行って歩いてみたり。
 時には、急に気持ちが悪くなったり。
 ハローワークにも行くには行きました。
 ここ(辞退した企業)がだめってことは、得意分野で社会貢献するしかないと管理栄養士の募集を探したんですが、非常に難しくて、新卒を採用するような求人は簡単には見つかりませんでした。
 現実はそうだよな、厳しいよなと思いました。

しのぶん:
 相談できる人は身近にはいなかったの?

圓尾和紀
 神戸の両親と、友人だけでした。それも電話だけで。
 東京ではインターンをしていた会社の方々しか繋がりが無かったんですが、連絡はもう取れなくなってしまって。
 東京に居ても、家賃が高いですし、一週間が限界で、神戸に戻りました。

しのぶん:
 その後、就職まで時間はかかった?

IMG_1818_c圓尾和紀
 実家に戻って1ヶ月はもう、何も手に付きませんでした。
 2ヶ月目からようやく動き出して、でも、1ヶ月で地元での就職活動は諦めました。
 正直就活に身が入らなかったのはあります。一度東京を見てしまっていたので、トップになるなら東京だな、と。
 3ヶ月目から、東京に戻って友人の家に居候させてもらって、それから1ヶ月ぐらいですね、30件ぐらい応募して、最初の病院に就職できたのは。
 ただ、そこは産休の代替だったので半年で終えて、次の病院に移りました。

しのぶん:
 やっぱり、管理栄養士という資格があったから病院にしたの?
 でも、冒頭でもあったけど、病院勤務では給与水準が高いとは言えないんでしょ?

圓尾和紀
 病院勤務は通過点と始めから思っていました。
 実際に病院で栄養指導を実践して、経験を積みたかったんです。
 栄養士としての専門性を高めたいという気持ちがありました。
 就職活動中に、テレビでジェイミー・オリヴァーを知ったことも影響しているかもしれません。

しのぶん:
 あぁ、ジェイミー・オリヴァー。
 ・・って誰?(笑)

IMG_1866_c圓尾和紀
 イギリス人のシェフです(笑)
 食育の活動を通じて、英国政府に働きかけて、給食改善のために440億円の予算増額を実現させた人です。

しのぶん:
 440億円?すごいね。

圓尾和紀
 かっこいい人なんです。
 破天荒な人で、すぐ泣いたり、怒ったりして一見みっともないんですが、自分の気持ちにまっすぐな方です。
 とにかくかっこいいんです。
 イギリスでは、父母が子供にジャンクフードをランチとして持たせるような地域もあったんですが、そうした場で地道に活動を行って、ついには署名を集めて、当時のブレア首相にまで会うんです。

しのぶん:
 あー。そこは竜馬に繋がるわけだ。
 竜馬よりも、もっと自分に近いモデルが出て来たわけだ。

圓尾和紀
 そうですね。

しのぶん:
 日本でのモデルは居たりする?

IMG_1797_c圓尾和紀
 日本の栄養士会でもすごい方はいらっしゃいますね。
 僕からすると雲の上の存在の方ですが、ある外食チェーンと一緒に食育の活動をされていたり、独自の資格をつくられて、その資格を認定する社団法人を設立されていたりします。

多くの方と出会っていきたい

しのぶん:
 今後の目標というと?

IMG_1789_s圓尾和紀
 明確にこれといったことはまだ言えないんですが、今年から始めた栄養士の集いというイベントを盛り上げたり、またイベントを通して一緒に前に進める方と繋がって行きたいです。

しのぶん:
 そうだよね、何かを始めようとしたとき、協力してくれる方々、ベースとなる自分の環境が必用だものね。
 いよいよ「8時だよ!栄養士大集合」も5回目となって、100人規模のイベントだものね。
 今後、どんな人と出会いたいと思う?

圓尾和紀
 一つはメディア関連の方ですね。テレビ・雑誌・出版社・インターネット、それぞれの方との繋がり。
 それから、女性をターゲットにした栄養にまつわる活動をしたいとは思っていて、美容関係の方とも繋がりが欲しいですね。
 もちろん、食関係の方もです。

しのぶん:
 女性をターゲットにするのはどうして?

IMG_1840_s圓尾和紀
 一つは栄養と美容が近いところにあることがあります。
 病気をされた方というのは、栄養についての意識は自然と高まるのですが、特に具合が悪くないという方にアプローチするのはやっぱり難しいです。
 でも女性であれば、美容に興味のある方々はたくさんいて、栄養や食ということでは伝わりやすいですよね。

しのぶん:
 まぁ、そうだよね。
 僕と同世代の女性とかは、美容はもちろんだけど、身体も少しずつ悲鳴を上げてくる年代だからターゲットになりやすいかもね。
 第二次ベビーブーム世代だから、市場的にボリュームもあるし。

圓尾和紀
 お子さんのいらっしゃる女性はもちろんですが、これから結婚や妊娠を考えていらっしゃる女性などもターゲットにしたいです。
 やはり、家庭の食事はお母さんが握っています。
 お子さんは自分で食べるものを選べない訳ですから、父母の方の意識の違いが、成人してからの健康維持の意識にも大きく影響すると考えています。

しのぶん:
 んー。
 僕はお会いした事無いけど、「ママそら」で活躍されている方々と繋がりを持つのもいいかもしれないよね。

圓尾和紀
 ママそらですか?

しのぶん:
 うん。このリマインズを始めようとしたなかで参考にもさせていただいたんだけど、Facebookを中心にしながら活動されているママの方々ですね。

 そういえば、あの企画はどうかな?

圓尾和紀
 あのってなんですか?

IMG_1711_sしのぶん:
 「管理栄養騎士、圓尾和紀」(笑)
 騎士の格好で、食育の歌とか食育体操だとかをつくって、保育園をまわるという・・。

圓尾和紀
 いやぁ、どうなんですかね(笑)

しのぶん:
 男性の栄養士って、7%しか居ないんでしょ?
 インターネットの栄養士まとめページとか見ても、女性が多いですよね。
 男性が少ないということを生かして、もう一人、二人のメンズ管理栄養士とユニットでアイドル化してCDだしたりとか(笑)

圓尾和紀
 そんなお話が、あればですかね(笑)

 今は薬膳にも興味があります。
 少し前から薬膳と絡めた書籍のお話も頂いたりしていますが、薬膳や漢方など、もはや栄養学の範囲ではないんですけどね(笑)

しのぶん:
 んー。栄養学って西洋医学の括りってことかな。
 サプリメントとかは?

IMG_1872_s圓尾和紀
 出来る限り食事で栄養を摂取して頂きたいとは思うのですが、野菜の栄養価が昔より下がっているということもありますし、それも有りなのかと最近は思い始めています。
 ただ、いずれにしても、栄養指導の先で、では具体的に何を食べれば良いのか、どの食材なのかという答えを持つことは一つの課題ではあります。

しのぶん:
 個人的には有機野菜と、そうでない野菜との栄養価を比較したデータとかを、どこかの栄養学部とか、学生とで協力してデータを取ったりなんかしてもらいたいですね。
 昔より栄養価が下がったとは聞くけど、具体的なデータとかを身近で聞いた事はないんですよね。

圓尾和紀
 なるほど面白そうですね。
 やっぱり、自分の強みとなるコンテンツは必用だと考えています。
 そうしたことも含め、これからも成長して行きたいと思います。

しのぶん:
 最後に自分のルールについて伺いますね。

圓尾和紀
 ルール・・・その宿題は難しかったですね。
 自分のmustルールはまだわかっていないですが、never must 、してはいけないことは明確ですね。

しのぶん:
 なんでしょう?

IMG_1876_s圓尾和紀
 相手が自分を必用としている時に応えられない自分では居たくないというものです。
 自分を必用としてくれる人が居るからこその自分の存在だと思っています。
ですから、期待に応えられる自分で居たい、応えられない自分では居たくないと思っています。

しのぶん:
このインタビュー記事を読んで頂いた方にメッセージがあれば。

圓尾和紀
最後まで読んで頂いてありがとうございました。
病院での勤務、患者さんの生活されている姿を垣間見て、僕は身体の健康の大切さを痛感しています。どれほど心の元気な方でも、どれほど経済的に豊かな生活をされていても、多くの友人や家族に支えれている方でも、身体の健康を損なうと、その方は自由な生活を制限されてしまいます。周囲の方々、ご家族も大変な思いをされます。幸せが続いていた日々も曇りがちとなります。
 一人でも多くの方が、そのような状況になってしまわぬように、誰しもが食事や栄養に気を使い、健康の維持を大切にする社会づくりに貢献したいと思います。
 このインタビューを読んで頂いた方々も、常日頃から食事や栄養について意識をされ、健康を維持して頂ける事を願います。

しのぶん:
 うん。
 今日は長時間のインタビューありがとうございました。
 これから、色んな高い壁が有ると思うけど、何度でも挑戦して頑張ってもらいたいと思っています。
 これからも取材させてね(笑)

圓尾和紀
 ありがとうございました。
 こちらこそよろしくお願いします(笑)

インタビュー後記

 まだ出会って間もないですが、爽やかな若者だな、元気を貰えるなと思って、一人目のインタビュイーとして、圓尾和紀さんを取材しました。
 圓尾和紀さんを知って、応援したいなと思った方、イイネ!って思って頂けた方はぜひ、いいねボタン、コメントをお寄せください。
 みなさまのワンアクションが圓尾和紀さんに新たな出会いを生む事を願って。

企画・構成 : しのぶん

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